。
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煩悩を煩悩せずば(いゝ歌だ!)
煩悩は煩悩ながら煩悩はなし
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空[#「空」に白三角傍点]、それは煩悩がなくなつた境地だ。
いや/\、菩提に囚はれない境地だ。
執着するなよ!
七時半の列車で出発、忠彦君に送られて、お土産として、酒三本、煙草一罐、そして小郡までの切符!
どうぞ、どうぞ、幸福に、幸福に(不幸がすぐ彼を襲うたとは!)。
炎天かゞやく。
九時半広島安着、黙壺居を訪ねて、また甘やかされた。
共にうち連れて、市中見物、生ビールとトンカツ、等々等。
旅といふものは、旅人の心は――
酒、酒、酒。
澄太君の友情に甘える。
憂欝、哀愁、苦脳[#「脳」に「マヽ」の注記]はてなし。
身辺整理。
七月廿一日
ブランク、ブランク、いつさいがつさいブランクで。――
七月廿二日[#「七月廿二日」に二重傍線]
憂欝たへがたし、気が狂はないのが不思議だ。
夜行で皈庵。
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大阪――広島
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・たれもかへる家はあるゆうべのゆきき
・更けると凉しい月がビルのあいだから
遊戯場
やるせなさが毬をぶつつけてゐる
或る食堂
食べることのしんじつみんな食べてゐる
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底本:「山頭火全集 第七巻」春陽堂書店
1987(昭和62)年5月25日第1刷発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:小林繁雄
校正:仙酔ゑびす
2009年9月4日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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