]。
六月一日[#「六月一日」に二重傍線] 晴。
四時にはほがらかに眼覚めた、私はたしかに不死身[#「不死身」に傍点]にちかいらしい、それは幸福でもあり不幸でもあるやうだ!
初夏の朝のすが/\しさよ、身も心ものび/\として、おのづからほゝゑましくなる。
街の鳩――飼主のない――が容姿には不似合な声で啼く。
午前中は互尊文庫で読書、探した本は見つからなかつたが。
昼飯は昨日も今日も蕎麦をいたゞいた、蕎麦はうまい、淡々として無限の味。
稲青君に案内されて悠久山へ。
夜は虹果居へ。
飲めるだけ飲んだが。……
六月二日[#「六月二日」に二重傍線] 曇、雨。
出立、銀汀、稲青の二君に長生橋まで送られて、さよなら、さよなら。
良寛和尚の遺蹟めぐり。
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良寛墓、良寛堂。
あらなみをまへになじんでゐた仏。
(国上山中)
青葉分け行く
良寛さまも行かしたろ
[#ここで字下げ終わり]
出雲崎泊。
六月三日[#「六月三日」に二重傍線] 曇。
寺泊へ、それから国上山へ。
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水は滝となつて落ちる荒波
[#ここで字下げ終わり]
弥彦神社。
バスで新潟へ。
六月四日[#「六月四日」に二重傍線] 五日[#「五日」に二重傍線] 六日[#「六日」に二重傍線] 七日[#「七日」に二重傍線]
新潟滞在。
砂無路居。
六月八日[#「六月八日」に二重傍線]
おわかれ。
村上東町の詢二居へ。
六月九日
詢二居飲会。
六月十日
瀬波温泉にて。
六月十一日 十二日
ぼう/\ばく/\。
六月十三日
鶴岡へ、秋兎死居。
六月十四日
秋君といつしよに湯田川温泉へ。
六月十五日
散歩。
六月十六日[#「六月十六日」に二重傍線]――廿二日[#「廿二日」に二重傍線]
酒、女、むちやくちやだつた。
秋君よ、驚いてはいけない、すまなかつた、かういふ人間として、許してくれたまへ。
湯田川温泉行。
六月廿三日 曇。
梅雨らしく降る。
私は遂に自己を失つた、さうらうとしてどこへ行く。――
抱壺君にだけは是非逢ひたい、幸にして澄太君の温情が仙台までの切符を買つてくれた、十時半の汽車に乗る。
青い山、青い野、私は慰まない、あゝこの憂欝、この苦脳[#「脳」に「マヽ」の注記]、――くづれゆく身心。
六時すぎて仙台着、抱壺
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