。
とにかく残念な事をした、この旅日記も書けなくなつた、旅の句も大方は覚えてゐない。
やつぱりぐうたら[#「ぐうたら」に傍点]の罰である。
岡山から広島までの間で、玉島のF女史を訪ねたことも、忘れがたい旅のおもひでとならう。
円通寺、良寛和尚。
(二月)
奈良、桂子居。
(二月)
赤穂附近。
二月十一日[#「二月十一日」に二重傍線] 十二日[#「十二日」に二重傍線] 十三日[#「十三日」に二重傍線]
今日から新らしく書き初める。――
雪、紀元節、建国祭。
黙壺居滞在。
第四句集雑草風景の句箋を書く。
こゝでまた改めて澄太君の温情に触れないではゐない。
二月十四日[#「二月十四日」に二重傍線]
日本晴、出立。
二月十六日[#「二月十六日」に二重傍線] 十七日[#「十七日」に二重傍線]
場末の安宿にて休養、いひかへると、孤独気分になりきるために。
二月十八日[#「二月十八日」に二重傍線]
ぶら/\歩いて宮嶋まで、そこで泊つた。
二月十九日[#「二月十九日」に二重傍線] 大霜、快晴。
生死去来は生死去来である。
大竹に泊る。
二月二十日[#「二月二十日」に二重傍線] 二十一日[#「二十一日」に二重傍線] 柳井津滞在。
この日、この身、この心。……
二月廿二日[#「二月廿二日」に二重傍線]
白船老を訪ねる、泊れといふのをふりきつて別れる。
雪、雪、酒、酒、泥、泥。
二月廿三日[#「二月廿三日」に二重傍線]
宮市の安宿で感慨無量。
二月廿四日[#「二月廿四日」に二重傍線] 岔水居。
あゝ友はまことにありがたい。
二月廿五日[#「二月廿五日」に二重傍線] 曇つて寒い。
戸畑へ、多々桜君を訪ねる。
二月廿六日[#「二月廿六日」に二重傍線] 廿七日[#「廿七日」に二重傍線] 牡丹雪が降つた、星城子居。
あたゝかなるかな、友のこころ。
こゝで重大事件(二・二五[#「五」に「マヽ」の注記]事件)を知つた。
省みて、自分の愚劣を恥ぢるより外ない。
二月廿八日[#「二月廿八日」に二重傍線]
八幡の人々を訪ねまはる。
井上さん、仙波さん、その他。
二月廿九日[#「二月廿九日」に二重傍線] 雪、霰。
土筆君に招かれて行く。
寝苦しい夜がつゞく、あたりまへだ。
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(伊豆海岸、信
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