おもひあるときは
死なむとおもふおのれをむちうつ
[#ここで字下げ終わり]
日本が――世界も――さうであるやうに、私自身も転換期[#「転換期」に傍点]に立つてゐる、生死に直面してゐる、最後のあがきだ、私は迷うてゐる、どうすればよいのか、どうしなければならないのか。……
四月廿九日[#「四月廿九日」に二重傍線] 晴。
天長節、日本晴だ、めでたし。
とにかく落ちついた、めでたし、めでたし。
アメリカからありがたいたより、Kさんありがたう。
眼白がすばらしくうまいうたをうたうてくれる。
つゝましく、ひたすらつゝましく。
麦飯をいたゞく、ありがたし、ありがたし。
散歩、棕梠の花房[#「棕梠の花房」に傍点]が私を少年時代にひきもどした。
ふくろうが近寄つて来て、すぐそこの木で啼く、私はしんみり読み書きする。
四月卅日[#「四月卅日」に二重傍線] 晴。
転一歩[#「転一歩」に傍点]。――
好晴、好季節、幸にして海のあなたからの好意で湯田へ行くことが出来た、久しぶりにのんびり熱い湯に浸つた、そしてぞんぶんに飲んだ(正味一升は飲んだらしい!)、くたびれてS屋に泊つた。
まことによい一
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