く/\ぼうし
・胡瓜もをはりの一つで夕飯
・こうろぎよあすの米だけはある
・星がまたゝく山こえて踊大[#「大」に「マヽ」の注記]皷の澄んでくる
改作二句追加
・酔ざめの水くみに出て草月夜かな
・家を持たない秋がふかうなるばかり
・昼もしづかな蠅が蠅たゝきを知つてゐる
・蠅たゝきを感じつゝ蠅が飛びまはる
追加(昨年の句を改作して)
・雪ふりつもる法衣のおもくなりゆくを
・朝の鐘の谷から谷へ澄みわたるなり
曇れば鴉鳴もかなしくて
夕鴉鳴きかはしてはさびしうする
追加
・濡れて涼しく晴れて涼しく山越える
・いつもひとりでながめる糸瓜ながうなる
・秋空へ屋根葺きあげてゆく
はだかとなれば秋らしい風で
・水くんであほぐや雲は秋のいろ
[#ここで字下げ終わり]
八月廿六日[#「八月廿六日」に二重傍線]
朝晩のすがすがしさ、けさのさわやかさ、身心快適。
つく/\ぼうしがいらだゝしく鳴く、その声が迫りくるやうにこたえる。
今日はどういふものか感傷的になつた、そして厭世的にさへなつた、私はセンチメンタリストではあつてもペシミストではない、しかし今日のやうな場合には、もし私が
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