づけて、雨支度をして出かけた、川尻――春竹――砂取――新屋敷――休みなしに歩いたが、私にふさはしい部屋も家もなか/\見つからない、夕方、逓信局に馬酔木さんを訪ね、同道してお宅で晩餐の御馳走になる、忙しい奥さんがこれだけの御馳走をして下さつたこと、馬酔木さんが酒好きの私の心持を察して飲まして下さつたこと、そして舅さんが何かと深切に話しかけて下さつたこと、ありがたい、/\、そしてまた同道して元寛居へ推参する、雑談にも倦んでそれ/″\の寝床へいそぐ、おちつけない一日々々である、あはたゞしい一日々々である、よき食慾とよき睡眠、そしてよき食物とよき寝床。
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・今夜の寝床を求むべくぬかるみ
 与へられた寝床の虱がうごめく
・降つたり照つたり死場所をさがす
 狂人《キチガイ》が銭を数へてるま夜中の音
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嫌な夢から覚めたら嫌な声がするので、何ともいへない気分になつた、嫌な一夜、それはおちつかない一日の正しい所産だ。

 十二月廿一日[#「十二月廿一日」に二重傍線] 晴后曇、行程五里、熊本市。

昨夜、馬酔木居で教へられた貸家を見分すべく、十時、約束通り加藤社で雑誌を読みながら待つてゐたら、例のスタイルで元寛さんがやつてきた(馬酔木さんはおくれて逢へなかつたので残念)、連れ立つて出町はづれの若い産婆さん立石嬢を訪ね、案内されて住む人もなく荒れるにまかした農家作りの貸家へ行く、とても住めさうにない、広すぎる、暗すぎる――その隣家の一室に間借して独占してゐる五高生に同宿を申込んで家主に交渉して貰ふ、とても今日の事にはな[#「はな」に「マヽ」の注記]い、数日後を約して、私は川尻へ急行する、途中一杯二杯三杯、宿で御飯を食べて寝床まで敷いたが、とても睡れさうもないし、引越の時の事もあるので、電車でまた熊本へ舞ひ戻る、そして彼女を驚かした、彼女もさすがに――私は私の思惑によつて、今日まで逢はなかつたが――なつかしさうに、同時に用心ぶかく、いろ/\の事を話した、私も労れと酔ひとのために、とう/\そこへ寝込んでしまつた、たゞ寝込んでしまつたゞけだけれど、見つともないことだつた、少くとも私としては恥ざらしだつた。
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 枯草ふんで女近づいてくる
 枯草あたゝかう幸福な二人で(元寛君へ)
・住みなれて枯野枯山
・道はでこぼこの明暗
・ふり
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