しなければウソだ。
道を訊ねる、答へる人の人間的価値がよく解る、今日も度々道を訊ねたが、中年の馬車挽さんは落第、若い行商人は満点だつた、教へるならば、深切に、人情味のある答を望むのは無理かな。
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 しんせつに教へられた道の落葉
・つめたい雨のうつくしい草をまたぐ
 大木に腰かけて旅の空
 立札の下手くそな文字は「節倹」
 山茶花散つて貧しい生活
 坊さん二人下りたゞけの山の駅の昼(追加)
 大金持の大樅の木が威張つてゐる
・空の爆音尿してゐる(太刀洗附近)
・たゝへた水のさみしうない
 また逢つた薬くさいあんたで(追加)
・降るもよからう雨がふる
 夕空低う飛んで戻た[#「戻た」に「マヽ」の注記](飛行機)
 暮れてもまだ鳴きつゞける鵙だ
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今夜は酔ふた、すつかり酔つぱらつて自他平等、前後不覚になつちやつた、久しぶりの酔態だ、許していたゞかう。

 十二月九日[#「十二月九日」に二重傍線] 雨后晴、双之介居滞在(本郷上町今村氏方)

よい一日だつた、勧められるまゝに滞在した、酒を飲んで物を考へて、さてどうしようもないが、どうしようもないまゝでよかつた、日記をつけたり、近所のお寺へまゐつたりした、……そして田園情調を味はつた、殊に双之介さんが帰つて、床を並べて、しんみり話し合つてゐるところへ、家の人から御馳走になつた焼握飯《ヤキムスビ》はおいしかつた。
双之介さんと対座してゐると、人間といふものがなつかしうなる、それほど人間的温情の持主だ、同宿の田中さん(双之介さんと同業の友達)もいゝ人物だつた、若さが悩む悶えを聞いた。
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みあかしゆらぐなむあみだぶつ(お寺にて)
自動車まつしぐらに村の夕闇をゆるがして行つた
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 十二月十日[#「十二月十日」に二重傍線] 晴、行程六里、善導寺、或る宿(二五・中)

九時近くなつて、双之介さんに送られて、田主丸の方へ向ふ、別れてから、久しぶりに行乞を初めたが、とても出来ないので、すぐ止めて、第十九番の札所に参拝する、本堂庫裡改築中で落ちつきがない、まあ市井のお観音様といつた感じである、こゝから箕ノ山の麓を善導寺までの三里は田舎路らしくてよかつた、箕ノ山といふ山はおもしろい、小さい山があつまつて長々と横は[#「横は」に「マヽ」の注記]つてゐるので
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