形容する。ここまで到達しなければ、ほんとうの故郷、ほんとうの人間、ほんとうの自分は見出せない。
 自分自身にたちかえる、ここから新らしい第一歩を踏み出さなければならない。そして歩み続けなければならない。
 私は今、ふるさとのほとりに庵居している。とうとうかえってきましたね――と慰められたり憐まれたりしながら、ひとりしずかに自然を観じ人事を観じている。余生いつまで保つかは解らないけれど、枯木死灰と化さないかぎり、ほんとうの故郷を欣求することは忘れていない。
[#地付き](「三八九」復活第四集 昭和七年十二月十五日発行)



底本:「山頭火随筆集」講談社文芸文庫、講談社
   2002(平成14)年7月10日第1刷発行
   2007(平成19)年2月5日第9刷発行
初出:「「三八九」復活第四集」
   1932(昭和7)年12月15日発行
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2008年5月19日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さ
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