するとか、なすをいかに煮るとか、貰ったあゆをいかに処理するとか、仕事を区別し場所を別々にして、皆様のご相談相手を致したいと思うのであります。そして若い方には、切り盛りの仕方からお教えしたいと思います。中には上手な方もおありだろうと思いますから、そうした方はわたしの助手としてお手伝いくだすって、ごいっしょに相談し合ってやりたいと存じます。
それでは、おもしろくないから止《よ》そうというひとがあるかもしれないし、また、それでもよいと思って留《とど》まる方もあるだろうと思います。
わたしどもが料理を致しますのは、うまい料理、体裁のよい料理をして、立派な腕前をひとに見せたいとかいう、そうした理性的な考えでなく、料理が趣味で好きで好きでしないではおられないという非常な楽しみごととしてやっております。
皆様もご承知の明治の元勲井上侯爵は、晩年まで自分で台所に出られ、七輪をあおいで料理をやられました。鈴木馨六というお婿さんなんかは、七輪を、あおがせられるので悲鳴をあげたそうです。井上さんは、料理を料理人に任せてはおられない、自分でしないと気がすまない方でありました。それがために、どうも料理人の
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