気でいます。目に訴える美感について鈍感なのに驚くほかありません。この点、盛り付けを含めて日本料理の高さというものは、世界無比だと思います。食べ物は単に舌だけで味わうものではなく、全感覚を喜ばせるものでありたいとする日本人の美食学は、実に世界の最高を行くものだと思います。いうまでもなく、店構えも立派、すべてが清潔ということも第一条件でありますが、それだけで終わっているアメリカ料理の奥行きの浅さを僕は感ぜずにはいられませんでした。
サンフランシスコからシカゴへ飛ぶ飛行機の中でサーヴィスされたジュースのうまさ、日本で売っているジュースにあらず。サラダ菜もすこぶる美味、これはアメリカ菜ではなく、イタリア菜の由。
まだ牛肉、豚肉、魚のうまいのに行きあわず。シカゴの話は後ほど。取りあえず以上を飛行便に託します。四月三十日、草々。
底本:「魯山人の美食手帖」グルメ文庫、角川春樹事務所
2008(平成20)年4月18日第1刷発行
底本の親本:「魯山人著作集」五月書房
1993(平成5)年発行
初出:「芸術新潮」
1954(昭和29)年
入力:門田裕志
校正:noriko saito
2009年12月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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