だしの取り方
北大路魯山人
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)叩《たた》き
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)たいのうしお[#「たいのうしお」に傍点]
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かつおぶしはどういうふうに選択し、どういうふうにして削るか。まず、かつおぶしの良否の簡単な選択法をご披露しよう。よいかつおぶしは、かつおぶしとかつおぶしとを叩《たた》き合わすと、カンカンといってまるで拍子木か、ある種の石を鳴らすみたいな音がするもの。虫の入った木のように、ポトポトと音のする湿《しめ》っぽい匂《にお》いのするものは悪いかつおぶし。
本節と亀節ならば、亀節がよい。見た目に小さくとも、刺身にして美味い大きいものがやはりかつおぶしにしても美味だ。見たところ、堂々としていても、本節は大味で、値も亀節の方が安く手に入る。
次に削り方だが、まず切れ味のよい鉋《かんな》を持つこと。切れ味の悪い鉋ではかつおぶしを削ることはむずかしい。赤錆《あかさび》になったり刃の鈍くなったもので、ゴリゴリとごつく削っていたのでは、かつおぶしがたとえ百円のものでも、五十円の値打ちすらな
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