つひに 血はやう/\こほりて
多楼台のカメロットを ながめつめし姫が目は
こと/″\く昏うなりにけり
蓋し流れ/\て とゞきしまへに
水涯なる第一屋に
いまはの歌をうたひつゝも 島姫はみまかりけり
シャロットの島姫は
高どのゝ下を 露台の下を
園のついぢのほとりを 長廊のほとりを
かすかにきらめく姿となりて しかばねはたゞよひぬ
土気色に青ざめて 高き家々のひまを
寂然と音もせで カメロットの城内まで
いでて来つ 波戸に 皆人
ものゝふも 市人も あて人も 女房も
かくて 船首に 皆読みぬ姫が名を
シャロットの姫といふ
これはたそ? さてこゝにあるは何ぞ?
かくて程近き ともしびのかゞやける館に
あて人らが 夜遊のさはぎも歇みつ
人々は おぢて十字を切りぬ
カメロットなる ものゝふは皆
しかはあれど ランセロットはしばし沈吟し
いひけらく このをみなのつら らうたし
神よ 大慈心もて 此の女子にめぐみを垂れてよ
此のシャロットの姫にと
底本:「ユリイカ 九月号 第23巻第10号」青土社
1991(平成3)年9月1日発行
入力:鈴木厚司
1999年3月6日公開
2005年12月24日修正
青空文庫作成ファイル:
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