は関係がなく、主として天上や陸でだけ働らいてゐるやうだから、ゲエル民族の海の守護神マイケルとは遠いやうにも思はれる。私たちの国の海辺をまもる熊野権現も、鹿取鹿島、塩釜、さういふ海辺の神たちもみんな海洋族の英雄であつたのだらう。私は無知にして神や仏の歴史を知らないから、はつきりは言へないけれど、わだつみの国の人たちは西にも東にも行つたのである。
青い野はらに放牧の群を真夏の季節になつてほかの牧にうつす時うたふ、昔から残されたカトリックの古いさんび歌がある。これはやつぱりカトリックの国の天使マイケルであつて、異教時代の強い神マイケルではない。光りかがやく白い羽根の天使の姿である。
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白馬に乗つて来るやさしいマイケルよ
血の龍を征服したマイケルよ
神とマリヤの御子の愛により
あなたの翼をひろげて おまもり下さい
あなたの翼をひろげて みんなをおまもり下さい
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底本:「燈火節」月曜社
2004(平成16)年11月30日第1刷発行
底本の親本:「燈火節」暮しの手帖社
1953(昭和28)年6月
入力:竹内美佐子
校正:林 幸雄
2009年8月17日作成
青空文庫作成ファイル:
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