トゐる。縁先の鳳仙花は炎天に萎《しを》れた其《その》葉をば早くも真直に立て直した。古い小袖を元のやうに古い葛籠《つづら》にしまひ終つた家人は片隅から一冊|宛《づつ》古い書物を倉の中《なか》へと運んでゐる。自分は又来年の虫干を待たう。来年の虫干には自分の趣味はいかなる書物をあさらせる事であらう。
底本:「日本の名随筆36 読」作品社
1985(昭和60)年10月25日第1刷発行
1996(平成8)年4月20日第15刷発行
底本の親本:「荷風全集 第一三巻」岩波書店
1963(昭和38)年3月発行
入力:門田裕志
校正:noriko saito
2009年12月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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