こと》で崩されてしまったのだった。あの優しい声は確かに彼の秘密を覗《み》破っているようだった。彼は同時に、秋子が、完全に柴田貞吉の妻であると意識を持つであろうことにも、ある一種の寂しさを感じた。
彼は固く自分の胸を抱きしめた。寂しい気持ちの充満した胸をぎゅっと抱きしめた彼は、狭い信号所の中をがたがたと歩き回った。
底本:「見えない機関車」光文社文庫、光文社
1986(昭和61)年10月20日初版1刷
入力:奥本潔
校正:田尻幹二
1999年2月4日公開
2005年12月17日修正
青空文庫作成ファイル:
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