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〔譯〕士《し》は獨立《どくりつ》自信《じしん》を貴《たふと》ぶ。熱《ねつ》に依《よ》り炎《えん》に附《つ》くの念《ねん》、起す可らず。
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〔評〕慶應《けいおう》三年九月、山内|容堂《ようだう》公は寺村|左膳《さぜん》、後藤|象《しやう》次郎を以て使となし、書を幕府に呈《てい》す。曰ふ、中古以|還《くわん》、政刑《せいけい》武門に出づ。洋人來航するに及んで、物議《ぶつぎ》紛々《ふん/\》、東攻西|撃《げき》して、内訌《ないこう》嘗て※[#「楫のつくり+戈」、第3水準1−84−66]《をさま》る時なく、終に外國の輕侮《けいぶ》を招《まね》くに至る。此れ政令《せいれい》二|途《と》に出で、天下耳目の屬《ぞく》する所を異にするが故なり。今や時勢一|變《ぺん》して舊規《きうき》を墨守《ぼくしゆ》す可らず、宜しく政|權《けん》を王室に還し、以て萬國|竝立《へいりつ》の基礎《きそ》を建つべし。其れ則ち當今の急務《きふむ》にして、而て容堂の至願《しぐわん》なり。幕《ばく》下の賢《けん》なる、必之を察《さつ》するあらんと。他日幕府の政
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