叭まで出る。假裝のもの、印半纒のもの、浴衣のもの、多くは繰り拔いた窓のある編笠を目深にかぶつて。臨時の飮飯店が出來る。臨時の藝者の置屋が出來る。これが三日三晩續くのです。
引續いて方方の盆踊がある。させ踊、稻扱踊、念佛踊、音頭踊。其他色色の踊があるやうです。
昨年までは越後に面した村で男女の媾合に象たつ踊があつたさうです。
私が始めて佐渡に渡つた時馬に蹴られましたが、佐渡の馬のよく蹴るのは、相川から南の峠を越した向ふの土地、相川の人の所謂ぜえ――在の意味です――の祭で馬の蹴合ひをやらすからだと聞きました。
相川の北の海府では、最近までは男女共褌一つで踊つたさうです。男も女も六尺褌一つだつたさうですが、女だけは一方の腰にきれの餘をだらりと下げたさうですが、米の値の出た時から贅澤になつて着物を夏でも着るやうになつたのだと土地の人が聽かせてくれました。(以上十三年八月、東京で)
底本:「明星」「明星」發行所
1924(大正13)年10月
初出:「明星」「明星」發行所
1924(大正13)年10月
入力:江南長
校正:小林繁雄
2009年5月3日作成
2009年6月5日修正
青空文庫作成ファイル:
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