底が拔けてしまふのです。食事の時は更に奇觀です。右の手に箸を持ちながら、左の手で魚の骨をつまみ上げてしやぶつて、その手で平氣で何處でもいぢりまはして居ります。
しかし一方にペパミント、キユラソオ、ベルモツト、ブランデイ、トマトソオスなどを飾り立てたバアもあります。七三に分けた女も居ります。鼻筋だけに白粉を付けた滑稽な女も居ります。南洋の新領土の人のやうに、また開國當時の日本のやうに、思ひ切つたハイカラが是認されます。
東京の風だと言へば大抵の惡事までゆるされます。
共産黨も居ります。共産黨がしかも酒を盛に飮んで※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]る共産黨です。
底本:「明星」「明星」發行所
1925(大正14)年1月
初出:「明星」「明星」發行所
1925(大正14)年1月
入力:江南長
校正:小林繁雄
2009年5月3日作成
2009年6月5日修正
青空文庫作成ファイル:
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