靈魂[#(ヲ)][#一]焉。
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(按)右は明治八年頃戊辰戰死者の爲に招魂祭典を擧げたる時、翁自ら靈前に供へたる祭文なり。十番隊は越後口に苦戰し、死者多し。此文初めに戰死者山口直秀以下二十七人の姓名及夫卒三人の名を記し、終に西郷隆盛謹誌の文あり。(他に文中の隊名を易へたるのみにて同じ祭文あり)
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     私學校祭文

蓋[#(シ)]學校者所[#三]以育[#(スル)][#二]善士[#(ヲ)][#一]也。不[#(ズ)][#二]只[#(ダ)]一郷一國之善士[#(ノミ)][#一]。必[#(ズ)]欲[#(ス)][#レ]爲[#(ント)][#二]天下善士[#一]矣。夫[#(レ)]戊辰之役[#(ニ)]。正[#(シ)][#レ]名[#(ヲ)]蹈[#(ミ)][#レ]義[#(ヲ)]。血戰奪鬪[#(シテ)]而斃[#(レタル)]者[#(ハ)]。乃[#(チ)]天下之善士也。故[#(ニ)]慕[#(ヒ)][#二]其[#(ノ)]義[#(ヲ)][#一]。感[#(ジ)][#二]其[#(ノ)]忠[#(ニ)][#一]。祭[#(リ)][#二]之[#(ヲ)]于茲[#(ニ)][#一]。以[#(テ)]鼓[#二]舞[#(ス)]一郷之子弟[#(ヲ)][#一]。亦所[#三]以盡[#(ス)][#二]學校之職[#(ヲ)][#一]也。
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(按)右は明治八年頃、有志戊辰戰歿者の追悼會を私學校に催ほし、翁に祭文を乞ひたるとき、翁の草したるものなり。
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     送[#(ル)][#三]|木尾《このを》君、日高君、救仁郷《くにがう》君三子之[#(クヲ)][#二]佛國[#(ニ)][#一]序

三子者將[#(ニ)][#レ]行[#(カント)]。臨[#(ミ)][#レ]別[#(ニ)]不[#レ]能[#(ハ)][#レ]無[#(キ)][#レ]言。而[#(テ)]我[#(レ)]豈特[#(ニ)]爲[#(メノミ)][#レ]痛[#(ム)][#二]離群[#(ヲ)][#一]|乎哉《ナランヤ》。乃[#(チ)]欲[#(シテ)][#レ]言[#(ハント)][#レ]之[#(ヲ)]涙先[#(ヅ)]下[#(ル)]。吾[#(ガ)]情猶[#(ホ)][#下]見[#(テ)][#二]昔日戰亡之諸君[#(ヲ)][#一]而別[#(ルル)][#上]也。嗚呼雖[#(モ)][#二]彼[#(ノ)]人亡[#(ブト)][#一]。以[#(テ)][#二]此[#(ノ)]人[#(ヲ)][#一]代[#(フ)][#レ]之[#(ニ)]。彼[#(ノ)]魂魄必[#(ズ)]有[#(リ)][#二]保護[#(スル)][#一]焉。何[#(ヲ)]以[#(テ)]得[#(ン)][#レ]代[#(ルヲ)][#二]彼[#(ノ)]人[#(ニ)][#一]乎。特[#(ニ)]有[#(リ)][#二]正氣[#一]焉。彼[#(レ)]正氣憤然發[#(シテ)]而斃[#(ル)]焉。子其[#(レ)]維[#二]持[#(シテ)]正氣[#(ヲ)][#一]而行[#(ケ)]矣。正氣[#(ノ)]所[#(ハ)][#レ]存[#(スル)]一焉而已。三子者往[#(ケ)]矣。嗚呼正氣。誰[#(ヲ)]憚[#(ツテ)]不[#(ル)][#二]維持[#(セ)][#一]乎。
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(按)右は明治八年、翁私費を投じて私學校生徒を佛國に留學せしめたる時の送別の文なり。
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底本:「西郷南洲遺訓」岩波文庫、岩波書店
   1939(昭和14)年2月2日第1刷発行
   1985(昭和60)年2月20日第26刷発行
※「艦の16かく目の「一」が「丶」」は「デザイン差」と見て「艦」で入力しました。
※「「褒」の「保」に代えて「丑」」は「デザイン差」と見て「衰」で入力しました。
入力:田中哲郎
校正:川山隆
2008年7月10日作成
2009年9月1日修正
青空文庫作成ファイル:
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