る。『少年世界』では江見水蔭さんの探検が好きなのに山中古洞さんの挿絵が嫌いで、拘泥したおぼえがあるが、之は前期のことか。――『世界お伽噺』では新版を本屋で買うと、先ずその挿絵を一通り見ることにして、ガリバーの絵だとか真黒学校の絵などは実に好きでした。酋長征伐は怖いと思いました。それから渡部審也氏、中村不折氏等の挿絵を尊敬しました。――雑誌『少年』に就ては、表紙のペン画が好きでしたが、其の作者の北沢楽天さんが之は又選者で、ウラメシや、毎度学校の先生の年の検印をもらっては大いに苦心して、はめ絵や判じ絵を出しました。一度も出ないのでがっかりしました。それに答案に予め賞品の希望を記せとあるので、銀時計と書きました。ああ、烏兎早々、北沢さんに心から御挨拶しましょう。
その第二号か三号かに「板ばさみ」と云う冒険談か何かがあった。あれは幾度読んでもよくわからないので悲しくなりました。
[#地から1字上げ](大正十三年十月)
底本:「日本の名随筆 別巻85 少年」作品社
1998(平成10)年3月25日第1刷発行
底本の親本:「木村荘八全集 第七巻」講談社
1982(昭和57)年11月
入力:門田裕志
校正:noriko saito
2008年12月12日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
木村 荘八 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング