かね? いくらなんでも、これだけじゃ、どうも――
せい ですから――あの――明日になればなんとかいたしますから。
欣二 (男に)いいから飲めよ。(男又しりごみして頭をさげる)なんだ? どうしてそうペコペコするんだ? (男更に頭をさげる)
柴田 (三平に)また、なんだ、近頃、この順々に配給が悪くなって来ているから――
せい ここんとこ押せ押せに、お尻が全部集って来て――欠配が二十四五日続いているもんですから。――もう少し早いと闇市でチットはなんか買えやしないかと思うんですけど、なんでしたら私一走り――?
三平 どうする気だろうなあ政府は? これじゃ大部分の国民は遠からずして餓死じゃね。食物が間に合う頃になったら、金が無くなってら。やっぱり、のたれ死にか。助からんねえ。阿呆な戦争をやらかしたもんさ、全く!
欣二 (男の顔を見たまま)ヘッ、ガウチョが何を言う! おい、飲めよ。よう! ……(不意に男の頬をピシッとなぐる。なぐられてもポカンとして、頭をさげるのも忘れている男。それを見て更にカッとした欣二が、更になぐる)こら! なぜ、そんなに、ペコペコしやがるんだ! (又なぐる)
双葉 兄さん!(走り寄って兄の手を掴む)なによ、なにするの!
欣二 野郎! フー公、これなんだと思う? え? これ、なんだと思う?
双葉 (怒って涙ぐんでいる)なぜ、そんな乱暴するの!
欣二 (歯をバリバリ噛んで)よく見ろ、こいつを! え? ナリを見ろよ。眼つきを見ろよ。かかって来たら、どうだ? くやしかったら、俺にかかって来たら、どうなんだ? ポカーンとして、ヘッ!(双葉に押されて食卓の方へ)
双葉 ですから――だから――そんな、ちい兄さんが乱暴する事はないじゃないの!
三平 まあまあ、じれたもうな。わかる。わかるけれども、アラアの神は曰く、一切は過ぎ去る。すべてはホンのいっときさ。アッハハハ。
欣二 なにが、アハハですよ? 一切が過ぎ去ったりして、たまるもんけえ。俺達ぁ、負けるべくして負けたんだ。(誠に)そうだろう兄さん? そうだね?
誠 …………。
欣二 え? 兄さん達から言やあ、そうなんだろ? そう言ってたね、こないだ? ……なぜ返事をしないんだ?
誠 いいよ。
欣二 そんな、変なふうに笑うのは、よせよ。
誠 お前は酔っている。
欣二 酔うなんて言うなあ、こんなんじゃねえよ。兄さんこそ酔ってい
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