等のワイシャツに、麻のズボン、レーンハットに青い靴下、背広の上衣は脱いで左腕にかけている。顔つきも身体つきも、殆んど男装した若い女のようにやさしい青年)
[#ここで字下げ終わり]
柴田 ……お帰り。
三平 どうした、欣二?
欣二 (ニコニコ笑って)ええ。……(自分の入って来た出入口の方を振返って)おい君、はいりたまえよ。
三平 ……[#「……」は底本では「…‥」](誰か出て来るかと思って同じくそちらを見るが、誰も出て来ないので)誰だえ?
欣二 ううん。……はいれよ、サッサと。(言い捨てて自分は食卓の方へ行き、帽子を脱ぎ、上衣といっしょに食卓に置き、椅子にかけて、父親の顔をむさぼるように見る)
柴田 誰かお客さんかね?
欣二 お父さん、また、痩せちゃった。
柴田 うむ? いや……(頬を撫でる)
[#ここから2字下げ]
(そこへ、出入口から圭子入って来る。思い切ってドギツイ、レンガ色の化粧をして真紅に唇を描き、はでなスーツに絹のストッキングに、大型のハンドバックを持った若い女。少しきまり悪いのをかくすために、かえって馴々しすぎる表情)
[#ここで字下げ終わり]
三平 やあ!
圭子 今日わあ。(頭は下げないで、胴なかをクネクネさせ上眼使いに相手の顔を正面から見ながら眼に物を言わせる式のお辞儀)しばらくでございました。
柴田 ええと、たしか――(誰だかわからないで、びっくりしている)
欣二 ははは。
圭子 ……(柴田に)私、ズットせん、信子さんとこに寄せて貰っていました加藤――
柴田 ああ信子のお友達の――
圭子 圭子と申しますの。
欣二 コじゃなくって、ケイトだろう。ケティとも言う。(ポケットから小さな紙包みを出し、紙をはがして父の前に差し出す)お父さん、食べて下さい。
柴田 (ドギマギして)なんだ?
敬二 チーズ。買ったんじゃない、貰ったんだ。
圭子 (色っぽく欣二を睨んで)おぼえていらっしゃい、欣二さん!
欣二 なんでもいいから気取って、はずかしがったりして見せるのはよせって言うんだ。かん違いはしない方がいい。僕ぁ、ただ島田の松の後を追って病院へ行ったら、そこに君が青くなって顫えているから一緒に連れて来たまでだよ。
圭子 悪うござんしたねえ一緒に来て。それじゃ私ぁ出て行ってよ。
欣二 ふん。(わきを向いて三平に)双葉は?
三平 そこに居る。(圭子に)まあまあ、おかけな
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