瀬は明日の――なんになるんだい?
誠 (それをたち切って)黙れ欣二! そんな事よりも、そう言うお前自身が、なんだと言う事だ、問題は。お前こそ――
欣二 (それをたち切って)おっと、わかったわかった、反動だろう? よかろう。戦争中は、軍閥が何かと言や俺達の事を非国民の国賊だと言って、きめつけた。あれと同じ筆法だ。右翼が国賊だと言ったものを、今度は左翼が反動か。だけど、僕ぁ自分では、唯の人間だと思っている。もっとも、少しボロかな。ルンペン臭い。ただ、そら、これも後の祭でね、今頃なんと言われたって、どうにもならねえんだな。同じ事なら、去年の七月時分に、そう言ってくれりぁよかった、残念だね。
誠 欣二! お前、今度の戦争で犠牲になって、メチャメチャになったのは――つまり戦争から痛めつけられたのは、特攻隊やなんか、つまり自分達だけだと思っているようだな? 思いあがりだぞ、そいつは。一番下等なエゴイズムだ! そうじゃないか? 内地に残っているすべての人だって同じだ。又、そいつは、負けた国の人間だけに限らん。勝った方の人間だって、それぞれの形で犠牲を払っている。苦しみや痛手は、お前達だけの専売じゃない! ……そりゃお前達は自分達の若い純粋さの一切を叩きこんで行った。それが、こうなって、全部ごまかされていたんだとわかれば、たまらんだろう。そりゃわかる。しかし、それが今更、どうなんだ? だからと言って、不良になって、ヨタって歩いたからって、なんとかなるか、それが? ……食おうと思った食物が、実は煮え湯だった、舌を焼いた。こりて、怒って、皿ごとひっくり返して踏みつけて、コナゴナにする。まるでヒステリィを起した犬っころのような――痛いのは自分だけだと思いあがった所から来るセンチメンタリズム――
欣二 ああ、犬っころだよ。センチだよ。ヒステリィさ。どうしたい、それが?
誠 仲間に対する気持が欠乏しているからだ。生きているのは自分一人ではない、仲間といっしょに、仲間の中に自分は生きている。従って自分の事は自分一人の事ではなくて、仲間みんなにつながっている、仲間全体の問題だと言う自覚がたりないからだ。――つまり、俺達の社会だ。お前の問題は、実ぁ、お前だけの問題ではない。又お前だけで解決しようといくらジタバタしたって解決出来る問題ではない。それは、俺達全体の社会の問題だ。全体として全体の中で解決
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