手をあげて欣二をさえぎりながら)黙って居れ欣二! その、それでは誠、だから、つまり、お前も認めているのだ、左翼も右翼もひっくるめた国民全部に、広い意味での戦争責任の自覚――そこから来る反省――つまり、何もかも御破算にした上でわし等は出発し直さなくては、日本の再建は出来ないと私は――
誠 違います! (既に眼は血走り、声は甲走っている)そんなミソもクソも一緒にした日本再建なぞ在り得ない! お父さんの言うような意味の日本なんぞ、もう既に無い。在る必要がない。再建しなくてはならぬ部分と、根こそぎ叩きこわさなきゃならん部分があるきりだ。大事なことは、あなたの考えが、そのどの部分に奉仕しているかと言う――
欣二 (梯子の所を離れてフラリと近寄って来ながら、誠の言葉をたち切って)わかった、わかった、勤労階級だけが進歩的さ。
誠 そうだよ!
柴田 (喘ぎながら)なぜ、そうだ?
誠 (噛みつくように)人間の生活に必要な物を作り出しているのは勤労者だからです!
柴田 しかし、これだけたくさんの勤労者に仕事を与えるだけの施設や力が日本に無ければどうする? 現に無くなっている。失業者の数をお前だって知らぬ筈はない。
誠 組織を変えます。機構を変えればやって行ける。それは――
柴田 それには程度が有る。ソビエットやアメリカや中国には、土地が有る。日本には無い。
誠 土地が無ければ無いように、やり方があります。生産手段は土地だけではないんです。
柴田 粗雑な公式論だ、お前のは。自然的条件や地政方面を抜きにした愚論だ。
誠 せいぜいお父さんは一国社会主義迄しか知らんから、そんな事を言うんだ! 食糧は、ほかから入れりゃいい。
欣二 知ってらい、世界全体の社会主義化が無ければ一国の社会主義化は完成されないとね。ふん。そいで――
三平 万国の労働者団結せよか!
欣二 そいで、それまで、どうするんだい? その時まで俺達はどうしてりゃいいんだよ?
三平 ハハハ、アメリカあたりの労働者は、日本の労働者とくらべれば、三井三菱――とまでは行かんが、先ずそれに近い暮しをしとる。団結せよと言っても、ごめんだってね。
双葉 (非常な早口で叫ぶように)よして頂戴! よして頂戴! お父さんも誠兄さんも、みんな、もう、そんな、よして頂戴! なんなのそんな! そんな事をワイワイ議論したって、なんになるの? 大事な事はそんな
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