ああ云っていたんだから、じゃあ、このまま雨戸に乗せて、皆でかかえて、診療所にかついでいこう。
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と数人。うむ、それがいいや、というんで、さっそく、マキを蒲団ぐるみに戸板に乗せて
ホラよ!
四、五人でかついで外に出る。それを見送る肥前と六十過ぎの越後。
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越後 肥前さん、お前もついて行かねえか?
肥前 なに俺あ、いいだろ。
越後 うまく持ち直してくれりゃいいがね。
肥前 うん……。
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どこからか、非常にたくさんの人の声で、まるで大川口に潮が寄せてくるように、木びき歌が響いてくる。
(合唱又はハミング)そのハミングのズーッと奥に博多節の三味線と歌がかすかに聞えてくるかもしれない。
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底本:「三好十郎の仕事 第三巻」學藝書林
1968(昭和43)年9月30日第1刷発行
初出:「破れわらじ」
1954(昭和29年)11月、NHK放送
※複数行にかかる中括弧には、けい線素片をあてました。
入力:伊藤時也
校正:伊藤時也・及川 雅
2009年1月5日作成
青空文庫作成ファイル:
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