かちつともわからないじやないか。もうすこし落ちついて話してくれなくちや。ぜんたい貴島君の事を君はどうしてそんなに氣にするんだえ?」
「憎いからなんです! 私は憎いんです! あの人が憎いんです!」
聲をふりしぼつた。聲にこめられている憎惡に間違いはなかつた。佐々兼武の「ほんとはルリは貴島に惚れてるんじやないですかね」というような事が、當つていようなどとは全く考えられなかつた。第三者にはまるでわからない貴島とルリとの間の關係がそこにはあるらしい。それを多少でも掴もうとして、いろいろの角度からたずねて行つても、ハッキリした答えは何一つ得られなかつた。氣の少し變になりかけた、カンのきつい子供を相手にしているようなものであつた。あぐねきつて私は、尚も喋り立てている彼女の顏を眺めているだけになつた。
「言葉をはさんですみませんが、貴島君、今どこに居るんですか?」
わきから國友がヒョイと言つた。ルリはその方を見たが、すぐには返事をしない。私はドキリとした。
「何ですの?」
「貴島君、どこに居ります?……あなた御存じでしよう?」
「知つています。………だけど、あなた、どなた?」
私は二人を簡單に
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