のよ。わかる、あんた? ごらんなさい、此處に居るこの連中!」
 しまいの方を段々小さい聲になり、最後の文句はほとんどささやくように言つて、樂屋の中の女たちをアゴでさし、「ね! こんだけ若い女たちがいるわね。たいがいみんな、割に氣だての良い子ばかりなのよ。そいで、この中の半分ぐらいが、どんな事をして暮していると思う? え? こうしてハダカやなんかになつて一日三囘も舞臺に立つてだな、座からもらう給金は、人にも言えない位のポッチリ。そうね、一人前の生活をやつて行ける程度の金をもらつている人は、先ず二三人しきや居ない。で、あとは、アルバイト。フフフ、お座敷に出たり、パーティに呼ばれたり。その方の稼ぎが大きいのね。中には、それだけの事でキレイに稼いでいる子も居るけど、人によつちや、相當タッシャな事をしているのも居るわね。もつとも、自分では女優やダンサアだという誇りを持つているから、よしんば男をなんにん相手にしても、好意を持つたからとか戀愛したとかパトロンだとか、いろいろにモットモな理由はくつついている。無意識の口實だわね。そして、實際にしている事は、商賣人以上のことをやるのが居る。だから、ここで踊つたりしているのは、そんな子に取つちや、張り店みたいな役に立つているわけで、よしんば給料がタダであつても舞臺はよせないわけよ。そうなの。中には、舞臺衣しようをソックリ着たまま外國人のワイルド・パアティなぞへ行つて踊つたりする。……しかし私には、そいつを惡くは言えない。だつて、そうしないと、やつて行けないんだもの。キレイなニュウ・ルックも着たいわね、あの年頃には。それさ。私には惡く言えない。そうじやなくつて? 誰がヒナンできると言うの、男優連だつて似たり寄つたりだわ。しかたが無いんだもの。マゴマゴしていると食いつぱぐれるし、落伍してしまう。そういう世界よ。私なんぞ、そういう所に落ちて來ているの。フフ! もつとも、私はもう自分でしたいと思つても、こうなつちや、荒い稼ぎなぞ出來ないの。しかたが無いからシワやブクブク太りを、オシロイやドウランでごまかして、ハダカになつたり、腰を振つたりしてね、フフフ! 家も燒けたし、今ズーッとこの樂屋で寢泊りしてんのよ。鼠といつしよにね」

        34[#「34」は縦中横]

 立川景子は、僕の搜している女では無い。
 匂いをかいで見る必要なぞあり
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