が危惧していた事が當つたのだ。國友が此處に居る。その前でルリが貴島の事を語りはじめている。………まずい。息もつかずに喋り續けるルリの口に蓋をしたいような氣持でハラハラしながら聞いている以外に、然し、私に方法が無かつた。
それが貴島の事だとわかつた時に國友大助の眼がキラリと光つたように思つた。然し彼は別に何も言い出さず、默々としてルリのお喋りを聞いている。
「まあ、まあ、まあいいよ。君が何を言おうとしているのか、よくわからないんだ、どうしたの一體?」
「ですから私にはわからないんですの。全體あの人が何をどうしようと思つているのか、何がどうなればどうなるのかハッキリした事はまるで言つてくれないんです。先生にそれを教えて戴きたいの。あの人はしきりに先生の事を言つて、會いたいと、そう言うんです。何のため? 何故先生に會いたいんですの?」
「貴島君がかね? さあ、どうしてかね、僕にもわからないな。君は會つたのだろう? そんなら君にはわからないかな? 君にわからない事が僕にわかる道理がない」
「いいえ、先生にはわかつているんです。あの人がそう言うんです。教えて下さい。ね先生」
「だつて、何が何だかちつともわからないじやないか。もうすこし落ちついて話してくれなくちや。ぜんたい貴島君の事を君はどうしてそんなに氣にするんだえ?」
「憎いからなんです! 私は憎いんです! あの人が憎いんです!」
聲をふりしぼつた。聲にこめられている憎惡に間違いはなかつた。佐々兼武の「ほんとはルリは貴島に惚れてるんじやないですかね」というような事が、當つていようなどとは全く考えられなかつた。第三者にはまるでわからない貴島とルリとの間の關係がそこにはあるらしい。それを多少でも掴もうとして、いろいろの角度からたずねて行つても、ハッキリした答えは何一つ得られなかつた。氣の少し變になりかけた、カンのきつい子供を相手にしているようなものであつた。あぐねきつて私は、尚も喋り立てている彼女の顏を眺めているだけになつた。
「言葉をはさんですみませんが、貴島君、今どこに居るんですか?」
わきから國友がヒョイと言つた。ルリはその方を見たが、すぐには返事をしない。私はドキリとした。
「何ですの?」
「貴島君、どこに居ります?……あなた御存じでしよう?」
「知つています。………だけど、あなた、どなた?」
私は二人を簡單に
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