いぐら、こんなしがねえドン百姓でも一人々々じゃタカあ知れているが、十人、二十人、百人、千人と一緒になれば、ああに、やってやれねえことあねえて!
段六 あんの話だよ、仙太公? あにをまた、パクパクパクパクえらそうに、喋っているんだ、仙太公? まあだ、こりねえのか? 詰らぬアゴタば叩いていねえで、さあ、タンボだ! (仙太郎の肩を掴んで田の方へ)
甲 そりゃそうだ! 仙太さ、そうだ! んでもそこんところがなあ、口でいうなあ、あんでもねえがよ。現に村の衆等は、村の平松さま初め大百姓オヤさまだちに頼んで、この秋から年貢を少し引いて貰わにゃ、やりきれねえ、せんめて二升五合の差し米だけでも、よその郡に較べてあんまり高いで、まけて貰おうなんどと話し合っているがのう、どんなことになっかねえ、税金にしたってそうだ、特別税なんどというオッカネエもの、何とか止すか減らすかして貰おうと、現に、先だっての講中の寄合いのときにも話が出たけんど、あんたのいうように十人、二十人、百人力を合わせると言うたとて、それがさ――。
乙 むずかしいて! 口でいうのはやさしいが。
仙太 (段六に)そう引っぱるなて、ああ、じきだ。
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