側になるのだ。もっとも、それも、しねえよりはまし[#「まし」に傍点]だろかい。何かの足しにはなるからな。……どっちせ、ふところ手をして食って行ける人間のすることはそんなものよ。当てにはならねえ。トコトンの一番しめえに、人をぶっ倒しても、こんだ他人からぶっ倒されねえ者と言えば、百姓、人足、職人、穢多、非人なんどのホントの文無しの者だ。しかし、そいつは、まだまだだあ。……虎雄なんども自分の目で正《しょう》のところば見てくるがええて。
お妙 だって、あんた、もし戦争にでもなれば、虎雄なんど、もしかすっと……?
仙太 なあに、それでもええ。男だ、それは覚悟していようて。人間、人に依れば、ホントのことをウヌが目で見ようとすれば、殺されることだってあるものよ。ああに。……さ、馬鹿におしゃべりをやった。また、やろうかい、段六公。
段六 おおよ、今日はお天気具合がええで、仕事がハカが行かあ。アハハハ。(男達三人立上って仕度をする。お妙とお咲は茶の道具を片づけにかかっている。そこへ右手の道から顔色をかえてソソクサと出てくる百姓二人。甲乙ともに野良着のまま)
甲 やあ、仙太郎さ、ここか!
乙 畑かと思うて
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