木が倒れるように雪の中にポスリと倒れる。
 呆然として立っている水木。
 山中をめぐつて鳴り出す陣太鼓の音)[#地付き](幕)
[#改段]

10[#「10」は縦中横] 真壁在水田

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 明治十七年八月末の晴れた日の午さがり。
 広々とした一面の水田で、早稲はすでに七分通り生長している。花道は村道。村道は本舞台にかかるとすぐ二つに分れて、一方は左袖へ消え、一方は右に曲って、水田の中を斜に断って、右奥へ曲って消えている。奥水田は岩瀬町から柿岡町へかけての低い山脈にくぎられ、右奥遠く高く肩を見せているのは加波山と足尾山である。
 明るいままに静かで、舞台には人影も見えない。しかし正面の水田の中三、四ヵ所で稲が動いてポチャポチャ水の音がするのは、三、四人の人間が泥掻きと草取りをやっているらしい。一番手前の者の菅笠と尻が時々穂の間からチラチラ見える。――そのままで間。
 花道から、小走りに出て来る中年の男二人。キョロキョロ前後を見廻し、青い緊張した顔をして七三で立止る。
[#ここで字下げ終わり]

男一 そ、そ、そ、そんでもさ、いぐら、じ、じ、自由党の壮士と言うたとて、村
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