まるで蜂の巣だ。もう口も利けねえ。「仙太郎か、お妙を頼む」って、それだけいうと、ゴットリ。俺あ!
加多 そうか……。(永い間)……それで、綺麗な人だったように憶えている。……お妙さんは、どうしている? 知れぬか?
仙太 筑波門前町下で女郎になった。……まだ館山にいる時分、段六が人に頼んで知らせて来た。
加多 女郎に? なぜにまた、そのような……?
仙太 ……養ってやらねば行方《ゆきかた》のねえ子が十人からいる。……俺も実あ、女郎と聞いて、いくら何でも程があると怒って見たが……、考えて見ると、あの人は、それ位やりかねねえ。それにいまどき、若い女の身そらで、二十と三十とまとまった金を掴むにゃ、ほかに手はねえ……。
加多 そうか。……それにしても……。ウーム。(気を変えて、無理に少し笑って)仙太郎、お前あの娘に惚れていたろう?
仙太 なんだって、加多さん? ……馬鹿にするのか? (といっても、怒ったのとは違い、手の平で鼻の辺をこすり上げている)
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(間)
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加多 ……(急にマジメになって)仙太、お前、ここから帰らぬか、国へ?
仙太 (暫く相手の意
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