みんなみんな、この私の手の平の中だよ。
三月になっても私がお前に手をおろさないのは、
猫の鼻の先にいつでも食える鼠を遊ばしておくように
すこしは楽しみたかったせいもあるが
それよりも、お前を殺そうと思った自分の気持が
ホンの一時のものかどうかを、ためしたかった
殺してしまってから、どんな意味ででも、どんなカスカにでも自分が後悔しないか?
そんな事を、短剣をお前の背中に擬しながら
自分で自分に考えさせて見たかったからだ。
それはない。たよりないほど、それはなかった
それが證拠に、お前を殺すことにきめた時から
私は食べる物がうまくなった
酒の味もおいしくなった
踊るのも唱うのも上手になったし、
男たちの腕の中でも、燃えかたが強くなった
フフ! 女のからだが、生れてはじめて、うずき走って、ふるえ出して思わず低く叫んだために
その夜の男はよろこんで私にルビーの指環をくれたのが
私がはじめてお前をつけて、短剣をお前の背中にかまえて見た晩だ。
虫ケラをひねりつぶすように私はお前をやれるだろう
今となって完全にお前の命は
私の手の平の中のオモチャだよ。

そうして三月の間お前の後をつけて歩いてい
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