が、ちがうと言うの! わからないのかなあ、春さんには?
春子 だって、私がそうしたいと思って、私自身が望んですることなのよ?
敦子 ちがいます! 春さんは、そうすればパリに行けて、華やかな外交官夫人みたいな生活が出来るから、そうしたいと思っているだけで――
春子 まあ、ひどい! いくら私が浅はかでも、そんな、ただそれだけでナニするなんて――
敦子 いえ、いえさ、そりゃ、それだけだって、言やあしないそりゃ敏行さまに対してチャンとした気持が春さんに無い事は無いと思う。しかしね。しかしよ、その……敏行さんの事を、春さん、それほど思ってやしない。断言する私! 違ってたら私、あやまるわ。けど、私春さんのためにシンケンで言ってるのよ。……ね? それほど、敏行さんでなければいけないと言う程、春さんは思ってんじゃないでしょ?
春子 ……そうよ。
敦子 そら、だから、そんないいかげんな――
春子 だって、いいかげんだか、どうだかがどうしてわかるの? 男の方とはただいろいろとお附き合いをしていただけですもの、深いことは私にわかりゃしないわ。
敦子 だって自分が結婚しようとする相手、つまり男性――男として、
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