たように笑って)冗談もんでしょう。あこいらが、二重三重とガンジガラメに、もう、金になる程のドンヅマリまで[#「ドンヅマリまで」は底本では「ドンズマリまで」]、しばり上げられている事を御存じ無いから、そんな事がおっしゃられる。アハハ。……なあ、本田さん、韮山とも言われた奴が、なさけ無い言い草じゃが[#「言い草じゃが」は底本では「言い草ぢゃが」]、ホンマに、ここいらに枝ぶりの良い木でも有ったら、ぶらさがってしまお思うている位だすぞ。(とその辺を見まわし、丁度本田から詰め寄られてその傍まで来ていたユスラ梅の枝に無意識に触って見ている[#「見ている」は底本では「見てゐる」])ハハ。……(三好を眼に入れて)なあ、あんた、ええと……(名は忘れてしまったらしい)
本田 ……(これも少しボンヤリして)すると、全体、どうすりゃ、いいですか? そんな事言われても――。
韮山 だから、もう少し……(言いながら、半ば無意識にちぎり取ったユスラ梅を見て)こら、綺麗だ。(ポイと口に入れる)うむ。……(噛みながら、又ちぎる)
本田 ……(これもユスラ梅を一つちぎって口に入れる)……だが、すっぱいな。(顔をしかめながら、又ちぎって口に入れる)
韮山 すっぱい。……(次から次とユスラ梅をちぎっては口に入れる)
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(三好は石に腰かけたままボンヤリそれを見ている。登美も縁側に坐って、黙って見ている。……断続する三味線の音。……本田も韮山も、殆んど無心になったように、セッセとユスラ梅をちぎっては口に入れ、その核《たね》をペッと吐きペッと吐きしている。……間)
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韮山 そいで……(言いながら、ヒョイと本田を見る。〔顔を〕しかめながらユスラ梅をちぎっている本田。韮山、それを見すまして、いきなり下手の庭口の方へパーッと[#「パーッと」は底本では「パーツと」]走り出す)
本田 あ!(ギクンとして、これも韮山を追って走り出す)また逃げるかっ! こら! 待てっ! 韮山! この野郎!(叫びつつ、脱兎の様に木戸口を飛び出して行く韮山を追って消える。これは殆んど一瞬の出来事である)
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(アッケに取られて、その方を見送っている三好と登美……)
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登美 ……(次第に笑いがこみ上げて来る)フフフ、フフ……。
登美 フフフ……。
三好 なあ
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