キると、ガクッと黙りこくってしまって、恐ろしく陰鬱になるんです。するうちに、またカーッとなる。その変り方が激しいんです。何かの病気じゃないかと言った人もあります。……そういう兄の性質を知らないわけではなかったんですけど、極く小さい時以来私とヴィンセントは一緒に暮したことがほとんどないものですから、実はこんなだとは知らなかったんですよ。それに、今度パリに来てからの様子は、これまでのそんな調子とはまたちがっているような気がするんです。私は心配でたまらないんです。ねえ、タンギイさん、どうしたらいいだろう私は?
タン そうですなあ。兄さんと言う人も、あなたも、善い人ですがねえ。
テオ そうなんだ。私はとにかく、兄が善い人間なことは間違いありません。兄としては悪気が有ってしていることではないんです、兄にはああしか出来ないのです。兄自身としては、一所懸命に人のことを考えたり人に親切にしたいと思ってそうしていることが、実際は人を苦しめ人に迷惑をかけているということが兄にはわからないんです。そういう人間です。エゴイスト――まるで、微塵も悪意を持たないエゴイスト――そう言った、わかってもらえるかどうか知
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