知しねえ! こねえだの爆発の時だって、ここの先生が身の皮あ、はぐようにしてよ、三日三晩いっすいもせず、食うものも食わねえで、まっ黒になってケガにんの看病したなあ、デニス、お前だって見ているんだ!
デニス しかし、そいつは宣教師の務めとしてしているまでじゃねえか。ああしてさえ居りゃ、伝道教会からチャンチャンと月給が送って来るんだからな。なんの心配もありゃしねえ。それにとどのつまりが、お坊さんだ。説教は出来るだろうが、会社に行って何が言えるんだな? 今どきお前、坊主の説教ぐれえで、はいさようでございますかと、こっちの言い分を聞いてくれるような支配人かよ、あのバリンゲルの畜生が?
ヴェルネ そこは何ともわからねえぞデニス。バリンゲルの旦那あ、そんなに話のわからねえ人でもねえ。俺あ知ってる。まあま、おっつけここの先生も戻って来るよ。万事はそれからのことだ。
デニス とっつあんは気が永過ぎるよ。年い取ってすこしボケた。
アンリ やいやいやい、デニス、お前、まだワッパのくせに、とっつあんに向って口がすこし過ぎやしねえか? お前の考えるぐれいのこと、ヴェルネが考えてねえと思うか? 俺たちが、じかにお
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