て! そうだとすると、こいつは大事だ。こうっ、と。……(考え込む)
ヴィン ……そんなわけで、あんた方のために、なんとかしてと思って、一所懸命になったが――私には、なんにも出来なかった。……もう、なんにも出来ない。私には力がない……
デニス だから――だから俺あ言ったんだ! 坊主に何が出来る! それを、偉らそうにシャシャリ出やあがって、この――(拳をかためてヴィンセントに詰め寄る)
ヴィン ……どうしてくれてもよい。……私を許してくれ。(ガクリと頭を垂れる。その打ちくだかれた姿を睨みすえているデニス)
ヨング よろしい! もうよろしい! これだけ聞けば、もうたくさんだ! いや、どうも、私は、まさか、これほどだとは思っていなかった。いや、いや、もうよろしい! 実に、なんともかとも、驚き入りました。わが福音教会の宣教師が、毎月そのために月給を貰って神聖な事業に従事している宣教師が、人々の前で神さまを誹謗している! 無神論者になったことを公言していおる! もうたくさんです! ことは既に余りがある!
ヴェルネ 牧師さん、それは、あの――こちらの先生がおっしゃったことは、会社の支配人のバリンゲル
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