なになっちまったけど……そうよ、みんな悪いんじゃないの。
北村 ……(なんにもいえないで、リクと明へと次ぎ次ぎに目をやっている)
俊子 ね? よくわかるの私には、それが。……北村さん、あなた、兄さんに会える?
北村 そりゃ、又、警察から呼び出しが来れば会えるだろうけど――
俊子 もしね、兄さんにお会いになったら、私の眼はこんなふうになったけど、ちっともヒカンしてはいないといってね。いぜんは、お兄さんを、うらんでいたけど、眠がつぶれてから、兄さんの事が私、わかるようになったの。もしかすると、私もヤソ教になるかもしないわ。
北村 え? ヤソ教に?
俊子 ええ。……いえ、まだよく、わかんないけど、もしかすると、友兄さんのいう事が、いちばんホントじゃないかという気がする時があるの。……(不意にギクンとして、半身を起す)あ! あの――!
北村 (びっくりして)どうしたんだよ? どう――
俊子 お父さん、どこへ行ったの? え? お父さんどこへ行ったの?
北村 おじさんは、この上へ、あの――
俊子 ちがう! あぶない! 北村さん、早く。あの早く、お父さんをさがして!(ヨロヨロと立ちあがっている)
北村 え! どう――?(意味はわからないなりに俊子の様子があまりにただならないので、びっくりして、あわてて)なにを――?
俊子 早く! 北村さん! 早くさがして! 兄さん! 明兄さん! お父さんが――早く、早く!(北村が左手の傾斜をかけあがって行き、消える。俊子は両手を空に突き出して、ハダシで、そのへんの焼土の上を、さぐり歩きながら)明兄さん! 明兄さん!(叫ぶ)
明 う? ……(やっと[#「やっと」は底本では「やつと」]土から起きあがって、モーローとした眼で妹を見て)なんだ! どうしたんだよ!
俊子 早く、兄さん! 早く!
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(そこへ、ここからは見えない崖の上で北村が、たまぎるような声で叫ぶのがきこえる)
[#ここで字下げ終わり]
俊子 あ!
明 どうしたんだよ、ぜんたい?
北村の声 早く来てくれえ、明君!
明 ……(崖の上を、まぶしそうに見あげて)なあんだよお!
俊子 早く行って兄さん! お父さんが――
明 ……(いきなりギャッ! というような叫びを上げ、兎が駆け出すように傾斜をかけのぼって行き、消える)
俊子 ……(今は声も出ず、見えぬ眼で、自分もそちらへ行こ
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