み活字」を主體にしてゐたとはいへ、非常に手のこんだ木版の輪廓や、手寫による複雜な圖案とか、色刷とかの美麗な印刷物であつたことと比例して興味あることである。
 印刷術の最初期が宗教文化と密接な關係を持つたことは西洋でも例外ではなかつたわけで、グウテンベルグやシヨフアーの印刷物にはわざわざ手寫本に僞せたものもあるといふ。一方では手寫本に僞せることでその價値を保ち、一方では美麗な印刷物であることで宗教的尊嚴をたかくしたといふ關係は、東洋における印刷術初期の歴史と相通じてゐるが、さてその活字を宗教と古典の世界から、近代的、大衆的、科學的な世界へ導びきだした最大の功勞者は、周知のやうに世界印刷術中興の祖と謂はれるベンジヤミン・フランクリンであつた。
 フランクリンが十三歳で印刷屋の小僧となつてから、十七歳の一七二三年フイラデルフイアに移つて以來週刊新聞を發行するまで、彼のイギリス渡りの二三枚の活字ケースがどんな重大なはたらきをしたかは、周知のやうに彼の「自傳」が彼がアメリカ憲法草案を書いたときのそれにも劣らぬ感動をもつて語つてゐるところだ。フイラデルフイアの町はすべてが新らしくすべてが草創であつ
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