やうもないが、これらの外國船はいちやうに三本マスト、或は四本マストの、扇をひらいたやうな恰好で、ズングリと、胴のふかい、紅だか青だかで彩つた船である。マストのてつぺんに幾條もの旗じるしをなびかせて、マストは蜘蛛の巣のやうに綱梯子がかかつてゐる。もちろん、まだ帆の力一つで東支那海や印度洋の荒波をこえてくるのだらうが、十六艘の端舟に曳かれて港にはいつてきつつある「オランダ入船」も、まだ沖合にゐる「シヤムかかり船」も、みな帆をおろしてゐる。同じ帆船でも「かかり船」のすぐそばにみえる年番らしい肥後細川侯の九曜の紋のある一枚帆のそれが、風を孕んではしつてゐるのに比べれば、このへんで帆を張つては危險なほど巨きなものらしい。奉行所の傳馬型の「改め船」や「番船」やが、對岸の飽ノ浦から沖合の小島へかけて、一番、三番、五番などの石火矢臺(沖の水平線からあらはれてくる異國船の見張所であり、また護りの砲臺でもあつた)のへんまで點在してゐるさまが、鎖された海の日本の入口の、ある緊張したものものしさのうちにも、どつか堰きとめきれぬやうな生々としたものにあふれてみえる。
「長崎之圖」の奧附のそばに、當時の國内航路と
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