急は伊豆の駅についたのでした。
3
空は青空、温泉街はしごくのどか、湯の町エレジーがのんびりと流れてくる。ワイワイはしゃぐ劇場連を迎えの自動車に送って、こちらは散歩。土産店の前でバッタリ会ったのが伊東の住人尾崎士郎先生、いったい今頃どうしたわけかと不思議そう。実はストリップ・ガールの大宴会がありまして、それに客分として参加するしだいを申しますと、そんな面白いものなら是非僕も仲間に入れてもらいたい、僕はストリップというものをついぞ一度も見たことがない、願ってもないよい機会にめぐり会ったものだ、是非是非との事で、こちらは一人でも味方のほしい、ではYシャツを一つ御用意願いましてということにあいなった。
4
鮎が住むという松川の河畔なる温泉旅館松川館の大玄関には、浅草座美人座御連中、の立看板が湯客の眼を引いていた。内には鮎よりピチピチした彼女達が湯にほてったからだを浴衣に包んで色めきたち、サリー、ジーン、セーラ、滝、シルバーなぞ名の張られた客間がずういとならび、嵐の前の静けさである。さて定刻の六時となれば、熱帯の花が競うよう、陸続と彼女達は大広間に現れ、
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