によれば出来ないものだと前から極めて置いても差支えなさそうに思われます。
私だって色々言いたい事もありますが、先ず今日は自分の立場の事だけで御免を蒙《こうむ》りましょう。多分これも雑誌へお出しになったら、またあいつが愚痴を云う、厭味を言うという事になってしまいましょう。所詮《しょせん》駄目ですね。
どうぞこんな下らない話でも、出すならそっくり出して下さい。此頃《このごろ》は談話の校正をさせて貰う約束をしても、ほとんど全くその約束が履行せられないことになって来ました。話には順序や語気があって、それで意味が変って来ます。先ず此頃談話して公にせられるものは、多くは本人の考とは違うものだと承知していた方が確なようです。先日の文章世界では千葉君に気の毒な思をしましたよ。どうぞそんな間違の無いように、この話はこのままそっくり出して下さい。[#地から1字上げ](明治四十二年十二月)
底本:「歴史其儘と歴史離れ 森鴎外全集14」ちくま文庫、筑摩書房
1996(平成8)年8月22日第1刷発行
底本の親本:「筑摩全集類聚版森鴎外全集」筑摩書房
1971(昭和46)年4月〜9月
入力:大田一
校正:noriko saito
2005年8月19日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
森 鴎外 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング