ざいましたのね。それだもんですから、イソダンであなたの御交際なさることの出来ましたのは、御両親を存じていたわたくしだけでございましたわ。
大切なる友よ。あの時がわたくしにとっては、どんなに幸福な時でございましたでしょう。本当にお互に物馴れない、窮屈らしい御交際をいたしました事ね。あの時邪魔の無い所で、久しく御一しょにいますうちに、あなたの人にすぐれていらっしゃること、珍らしい才子でいらっしゃること、何かなさるのに思い切って大胆に手をお下しになることなんぞが、わたくしにはよく分かりましたので、わたくしはあなたをえらい方だと存じましたの。それなのにあなたは大きななりをして、はにかんでばかりいらっしゃったのですもの。それは六つも年上の若後家の前だからでございましたのね。六つ違いますわねえ。おまけに男のかたが十七で、高等学校をお出になったばかりで、後家はもう二十三になっているのですから、その六つが大した懸隔になったのも無理はございませんね。そんな風にしていましたから、人の世話ばかり焼くイソダンの人達も、わたくしの所へあなたのいらっしゃるのをなんとも申さないで、あれは二親の交際した内だから尋ね
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