問す。成余六十二歳。西組与力|弓削《ゆげ》新右衛門地方役たり。
十一年甲戌 平八郎二十二歳。此頃竹上万太郎平八郎の門人となる。成余六十三歳。
十二年乙亥 平八郎二十三歳。成余六十四歳。
十三年丙子 平八郎二十四歳。成余六十五歳。京屋きぬ水野の徒弟となる。
十四年丁丑 平八郎二十五歳。成余六十六歳。
文政元年戊寅 六月二日成余六十七歳にして歿す。平八郎二十六歳にして番代を命ぜらる。妾ゆうを納《い》る。二十一歳。宮脇むつ生る。
二年己卯 平八郎二十七歳。
三年庚辰 平八郎二十八歳。目安役並証文役たり。十一月高井山城守実徳東町奉行となる。
四年辛巳 平八郎二十九歳。平山助次郎十六歳にして入門す。四月坂本鉉之助始て平八郎を訪ふ。橋本みね生る。
五年壬午 平八郎三十歳。
六年癸未 平八郎三十一歳。平八郎の叔父志摩宮脇氏の婿養子となり、りかに配せらる。是年大井正一郎入門す。水野軍記の妻そへ歿す。
七年甲申 平八郎三十二歳。宮脇発太郎生る。庄司義左衛門、堀井儀三郎入門す。庄司は二十七歳。水野軍記大阪木屋町に歿す。
八年乙酉 平八郎三十三歳。正月十四日洗心洞学舎東掲西掲を書す。白井孝右衛門三十七歳にして入門す。
九年丙戌 平八郎三十四歳。宮脇とく生る。
十年丁亥 平八郎三十五歳。吟味役たり。正月京屋さの、四月京屋きぬ、六月豊田貢、閏六月より七月に至り、水野軍記の関係者皆逮捕せらる。さの五十六歳、きぬ五十九歳、貢五十四歳、所謂邪宗門事件なり。
十一年戊子 平八郎三十六歳。吉見九郎右衛門三十八歳にして入門す。十月邪宗門事件評定所に移さる。
十二年己丑 平八郎三十七歳。三月弓削新右衛門糺弾事件あり。平八郎の妾ゆう薙髪《ちはつ》す。十二月五日邪宗門事件落着す。貢、きぬ、さの、外三人|磔《はりつけ》に処せらる。きぬ、さのは屍《しかばね》を磔す。是年宮脇いく生る。上田孝太郎入門す。木村司馬之助、横山文哉|交《まじはり》を訂《てい》す。
天保元年庚寅 平八郎三十八歳。三月破戒僧検挙事件あり。七月高井実徳西丸留守居に転ず。平八郎勤仕十三年にして暇を乞ひ、養子格之助番代を命ぜらる。格之助妾橋本みねを納る。九月平八郎名古屋の宗家を訪ひ、展墓す。頼襄《らいのぼる》序を作りて送る。十一月大阪に帰る。是年松本隣太夫、茨田軍次、白井儀次郎入門す。松本は甫《はじ》めて七歳なりき。
二年辛卯 平八郎三十九歳。父祖の墓石を天満東寺町成正寺に建つ。吉見英太郎、河合八十次郎入門す。彼は十歳、此は十二歳なり。
三年壬辰 平八郎四十歳。四月頼襄京都より至り、古本|大学刮目《だいがくくわつもく》に序せんことを約す。六月大学刮目に自序す。同月近江国小川村なる中江藤樹の遺蹟を訪ふ。帰途舟に上りて大溝より坂本に至り、風波に逢ふ。秋頼襄京都に病む。平八郎往いて訪へば既に亡《な》し。是年宮脇いくを養ひて女とす。柴屋長太夫三十六歳にして入門す。
四年癸巳 平八郎四十一歳。四月|洗心洞剳記《せんしんどうさつき》に自序し、これを刻す。頼余一に一本を貽《おく》る。又一本を佐藤|坦《たひら》に寄せ、手書して志を言ふ。七月十七日富士山に登り、剳記を石室に蔵す。八月足代弘訓の勧《すゝめ》により、剳記を宮崎、林崎の両文庫に納《おさ》む。九月|奉納書籍聚跋《ほうなふしよじやくしゆうばつ》に序す。十二月|儒門空虚聚語《じゆもんくうきよしゆうご》に自序す。是年柏岡伝七、塩屋喜代蔵入門す。
五年甲午 平八郎四十二歳。秋|剳記附録抄《さつきふろくせう》を刻す。十一月|孝経彙註《かうきやうゐちゆう》に序す。是年宇津木矩之允入塾す。柏岡源右衛門入門す。此頃高橋九右衛門も亦入門す。
六年乙未 平八郎四十三歳。四月孝経彙註を刻す。夏剳記及附録抄の版を書估《しよこ》に与ふ。
七年丙申 平八郎四十四歳。七月跡部良弼東町奉行となる。九月格之助砲術を試みんとすと称し、火薬を製す。十一月百目筒三挺を買ひ又借る。十二月檄文を印刷す。同月格之助の子弓太郎生る。安田図書、服部末次郎入門す。宇津木矩之允再び入塾す。天保四年以後飢饉にして、是歳最も甚し。
八年丁酉(一八三七年) 平八郎四十五歳。正月八日吉見、平山、庄司連判状に署名す。十八日柏岡源右衛門、同伝七署名す。二十八日茨田、高橋署名す。是月白井孝右衛門、橋本、大井も亦署名す。二月二日西町奉行堀利堅就任す。七日ゆう、みね、弓太郎、いく般若寺村橋本の家に徙《うつ》る。上旬中書籍を売りて、金を窮民に施す。十三日竹上署名す。吉見父子平八郎の陰謀を告発せんと謀《はか》る。十五日上田署名す。木村、横山も亦此頃署名す。十六日より与党日々平八郎の家に会す。十七日夜平山陰謀を跡部に告発す。十八日|暁《あけ》六|時《どき》跡部平山を江戸矢部定謙の許《もと》に遣《や》る。堀と共に次日市内を巡視することを停《とゞ》
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