ようだが、そう見るのが当り前のようだからね」
純一は手に持っていたフォオクを置いて、目をかがやかした。「なる程そうです。どうぞ僕の希望ですから、哲学談をして下さい。僕は国にいた頃からなんでも因襲に囚《とら》われているのはつまらないと、つくづく思ったのです。そして腹の底で、自分の周囲の物を、何もかも否定するようになったのですね。それには小説やなんぞに影響せられた所もあるのでしょう。それから近頃になって、自分の思想を点検して見るようになったのです。いつかあなたと新人の話をしたでしょう。丁度あの頃からなのです。あの時積極的新人ということを言ったのですが、その積極的ということの内容が、どうも僕にははっきりしていなかったのです」
給仕が大村の前にあるフライの皿を引いて、純一の前へ来て顔を覗《のぞ》くようにした。純一は「好《い》いよ」と云って、フォオクを皿の中へ入れて、持って行《い》かせて話し続けた。「そこで折々ひとりで考えて見たのです。そうすると、自分の思想が凡《すべ》て利己的なようなのですね。しかもけちな利己主義で、殆ど独善主義とでも言って好《い》いように思われたのです。僕はこんな事では行
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