らも、物資難で借金もあり牧瀬に質屋の使いをさせたこともあったが、家内が借金がきらいで、私の乏しいかせぎのなかから倹約でやりくりをしてだんだんにそれをうめて行った。現在の私は最も幸福な時であると思うが、この幸福な時に気をゆるしてはならぬと思う。世帯が大きければ大きいほどいろいろ面倒なことがあるが、一切のことを家内や牧瀬姉妹が引受けてくれているので、枝に連らなる社中一門の指導と、自分の研究に没頭すればよいのであるから、大いに元気を出して斯道に精進するつもりでいる。
底本:「心の調べ」河出書房新社
2006(平成18)年8月30日初版発行
底本の親本:「あすの別れ」三笠書房
1956(昭和31)年9月25日
初出:「宮城會々報」
1954(昭和29)年7月
入力:貝波明美
校正:noriko saito
2007年12月28日作成
2008年2月24日修正
青空文庫作成ファイル:
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