ノ「寛永年中ニ中華ヨリ初テ長崎ニ来ル、ソレヨリ以前ハ本邦ニナシ花ノ色海棠ニ似タリ故ニ名ヅク」と書いてあるが、同人の著書でありながら一つは正保といい一つは寛永という、果たしてどれが本当か。そして上文でみても秋海棠が我が日本の産でないことが判るので、日本にその自生がある訳がないことがうなずかれる。
 秋海棠は真に美麗な花が咲き何んとなく懐しい姿である。さればこそ陳※[#「温」の「皿」に代えて「俣のつくり−口」、第4水準2−78−72]子《ちんこうし》の『秘伝花鏡《ひでんかきょう》』にも秋海棠の条下に「秋色中ノ第一ト為ス――花ノ嬌冶柔媚、真ニ美人ノ粧ニ倦ムニ同ジ」と賞讃して書き「又俗ニ伝フ、昔女子アリ人ヲ懐テ至ラズ、涕涙《ているい》地ニ洒ギ遂ニ此花ヲ生ズ、故ニ色嬌トシテ女ノ面ノ如シ、名ヅケテ断腸花ト為ス」とも書いてある。このことはまた『汝南圃史《じょなんほし》』にも出ている。
 秋海棠はジャワならびに中国の原産であって Begonia Evansiana Andr[#「Andr」は斜体]. の学名を有し、またさらに Begonia discolor[#「Begonia discolor」は斜
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