フものもある。そして秋の花には往々多少は枝に葉を伴っている。
大和奈良公園二月堂の辺にもこのサクラが一本あった。奈良ではこれを四季《シキ》ザクラと呼んでいる。
贋の菩提樹
往々お寺の庭に菩提樹《ボダイジュ》と唱えて植わっている落葉樹があって、幹は立ち枝を張って時に大木となっている。お寺ではこれを本当の菩提樹だと信じて珍重し誇っているが、豈《あ》に図らんや、これはみな贋の菩提樹で正真正銘のものではないことに気がつかないのは情けない。殊に小さい円いその実で数珠を作って、これを爪繰り随喜しているのはなおもって助からない。
このいわゆる菩提樹はもと中国での誤称をその植物渡来と共に日本に伝えたものである。そしてこの樹は中国の原産でシナノキ科に属し Tilia Miqueliana Maxim[#「Maxim」は斜体]. の学名を有する。宝永六年(1709)に発行せられた貝原益軒《かいばらえきけん》の『大和本草《やまとほんぞう》』に「京都泉涌寺六角堂同寺町又叡山西塔ニアリ元亨釈書《げんこうしゃくしょ》ニ千光国師栄西入宋ノ時宋ヨリ菩提樹ノタネヲワタシテ筑前香椎ノ神宮ノ側ニウエシ事アリ報
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