く我国に伝わったのである。早くも明治十二年(1879)に植物学者の田代安定《たしろあんてい》君が当時博物局発行の『博物雑誌』第三号でその誤謬を喝破している。けれどもなお今日でもその余弊から脱し切れずに文学者などは往々橄欖の語を使い、また坊間の英和辞書などでもよく Olive に橄欖の訳語が用いられている。誠に学問の進歩に対し後れ返ったことどもで、日は最早や午に近く高う昇っているから早く灯火を消したらどうだ!
冬の美観ユズリハ
ユズリハはその葉片にも無論美点はあるが、冬に至るとその太き長き葉柄が殊のほか紅色を呈して美わしくなる。葉片と枝とは緑色であるからこれに反映しての葉柄美は特に目立ち、ユズリハは全く冬の植物であることを想わせる。葉柄の前側には狭長な縦溝路があり、葉は質が鈍厚で表面は緑色を呈するが、裏面は淡緑色で常に或る菌類が寄生し、諦視すると細微な黒点を散布している。またある白色黴の菌糸が模様的に平布して汚染《しみ》のように見える、すなわちこれらがその葉の裏面の状態である。詳かに検して見るとなかなか興味のあるものである。
ユズリハは譲り葉で、その時季に際すれば旧葉が枝から
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